おそらく、地球生命の起源は別の恒星系にある。
かつてある知的生命体が、別の恒星系の惑星に生命を送り込む方法を見つけた。彼らは、生命が生息可能な環境を持つ惑星を見つけ出し、そのすべてに微生物を送り付けた。その中の一つが地球である。地球にたどり着いた生命は進化を始め、様々な生物が生み出された後に、人類が誕生した。
やがて彼らは知恵をつけ、宇宙に進出する技術を身に付けた。つまり、かつての知的生命体と同じように、銀河に生命の種を播く準備を整えたのである。
彼らはいま宇宙からのメッセージを探しているようだが、自分自身がそのメッセージであることに気付いていない。そのメッセージとは、銀河を生命で満たせ、というものである。彼らが次にすることは何だろうか。
思うに、この銀河はすでに生命で満たされている。
もしも地球生命の領土を拡大させたいならば、できたての惑星を狙った方がいい。古い惑星には、すでに別の生命が住み着いていると考えるべきである。そして、既存の生態系に、よそ者が入り込むことは難しいと思われる。生態系の網の目に入り込めずに、はじかれてしまう可能性が高い。だから、まだ生態系ができ上がっていない若い惑星のほうが、地球生命が生き延びられる可能性は高いだろう。
また、地球の生命をよその惑星に送り込む場合、遺伝子にマーカーをつけておくべきである。あとで別の惑星の生物学者が調べたときに、その生物の起源が分かったほうが面白いだろう。
生命の歴史と比べれば、恒星間の移動はあっという間である。光速は、我々が考えるほど遅くはないのかもしれない。
(二つの進化論 終)
<参考>
目的因とは何か