反知性主義

 アメリカの歴史を決定しているのは、二種類の勢力の争いである。一つは旧世界、ヨーロッパの伝統をアメリカに持ち込もうとする人々である。もう一つは、ヨーロッパ的な伝統から抜け出して、本当の意味での新世界を実現しようとする人々である。
 基本的には、前者が後者を圧倒している。ある人々は、旧世界で実現できなかった理想を、新世界で実現しようと考えている。別の人々は、そのような古臭い理想こそが捨て去られるべきだと考えている。これはたとえば、南北戦争において露わになった対立とも関係がある。また、近年のトランプ現象もその一例であろう。ジャクソン大統領以来、事あるごとに反復されてきた対立の構図である。

 一般的に彼らは、つまりトランプやジャクソンや南部連合は、反知性主義と呼ばれている。だがそれは、正確に言うならば反ヨーロッパ主義である。西洋文明こそが知性の源であるという考えは、その文明に属する人々の思い上がりにすぎない。本当に知性を希求しているのは、反知性主義者の方であろう。自らを知性的と称する人々は、無知の中に安住しているだけである。
 アメリカにおいては、リベラリストこそが保守である。それは旧世界の古びた伝統を、新世界に接ぎ木しようとする無粋者である。アメリカに必要なものは、ヨーロッパからの自由である。真に正しいもの、新しいものの追求である。
 西洋人はあらゆる過ちをアメリカに持ち込んだ。それは殺戮を生み、奴隷を生み、数多くの戦争を生んだ。合衆国憲法はアメリカを縛るくびきである。それは、彼らが正しい道を歩むことを妨げている。

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