シビリアンコントロール

戦争はいつも思いがけない形で始まる。以前にも書いたことだが、私は、真珠湾事件はアメリカの陰謀だったと考えている。だが、ただの囮作戦だったとは思えない。おそらくアメリカは、日本海軍と艦隊決戦を行うつもりだった。

アメリカ政府は真珠湾に太平洋艦隊の主力を集め、決戦の準備を整えていた。そこに空母がいなかったということは、彼らは空母抜きで戦争をやるつもりだったことになる。アメリカは、ハワイ沖で日本海海戦のような艦隊決戦を行おうとしていた。昔ながらの大砲と魚雷による海戦である。アメリカが真珠湾に戦力を集めれば、日本側も大艦隊を率いてハワイに向かってくる。それを太平洋艦隊が迎え撃ち、一撃のもとに日本を降すつもりだった。だが、そのもくろみはあっけなく崩れた。日本は空母を率いてハワイに押し寄せ、爆撃機を飛ばして上空から艦船を狙い撃ちにしたのである。結果、太平洋艦隊は壊滅し、アメリカは大敗北を喫した。

アメリカ側は古い戦争観にとらわれていた。海戦は大砲を打ち合うものだと思い込んでいたのである。海軍の主力はすでに空母に移っていたが、軍事に疎い政治家たちはそれに気付かなかった。アメリカは民主国家であり、シビリアンコントロールが十分に機能している。そのために、軍隊の行動が政治家の判断によって左右されてしまった。一方で、日本にはシビリアンコントロールが存在していなかったため、軍人たちが最先端の知識によって作戦を立案していた。この差が真珠湾において現れたのだろう。


戦争は先手必勝である。相手があっと驚くような形で仕掛けなければならない。満洲事変もその一例で、相手に先んじて動くことで、十倍の敵を制することもできる。

おそらく次の戦争も、我々の思いがけない形で始まるだろう。湾岸戦争にしろイラク戦争にしろ、アメリカは、空母をペルシャ湾に寄せて空爆を行った。真珠湾から学んだ戦法である。我々にとって、それが戦争の常識になっている。だが、次の戦争も同じ形をとるとは限らない。

そこで我々は、相手がどんな攻撃を仕掛けてくるか、ではなく、我々はどんな攻撃を仕掛けるべきか、どんな攻撃をすれば敵を倒せるか、ということを考えなければならない。戦争は受け身になった方が負ける。次に戦争が起きるとすれば、それは我々の先制攻撃によって始めるのでなければならない。

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