宇宙産業と世界平和

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堀江貴文氏はロケット開発に手を出しているようである。世界を見れば、民間企業の宇宙産業への進出は少しずつ進んでいるようだが、そこには大きな壁があるようにも見える。

壁とは軍需産業である。日本においては、ロケットの開発は科学研究の一環として行われているが、多くの国ではむしろ軍事プロジェクトとして進められる性質のものである。そのため、多くの金が軍に集まり、本来進められるべき宇宙の商業利用の方には、十分に金が集まらない状況が生まれているのではないか。

しかし、もしも軍隊のために金を使う必要が無くなれば、ロケット産業は今よりもいっそう発展することができるはずである。つまり、ロケット産業を振興するためには、世界平和を実現することが一番の近道である。世界が平和になり、軍需産業に金を使う必要が無くなれば、その金をすべて宇宙開発のために使えるようになる。これこそが、世界の実業家たちが目指すべき道ではないのか。

なぜホリエモンは世界平和を目指さないのか。それが、彼の夢を実現する一番の近道だというのに。なぜ誰も世界平和を目指さないのか。それは人類にかつてない利益と繁栄をもたらすというのに。本当に不思議なことである。

2

シュミットの友敵理論は、囚人のジレンマそのものである。他国民が自国民に対して敵対的な行動をとると予想し、それに備える場合、実際に彼らが敵対的な態度をとるならば、我々は損をしないで済む。一方で、もしも他国民が友好的な態度をとるならば、我々はより多くの利益を得る機会を逃してしまうことになる。

他国を敵とみなし競争相手と考えるならば、できるだけ自国の損害が小さくなるような選択をせざるをえなくなる。それは、他国と協力する場合と比べて、必然的に双方の利益をより小さいものにするだろう。つまり、国家間の競争を前提とするならば、人類全体が得られる利益は最大化されえず、それは国家間の協力によって得られる利益よりも小さくなってしまうのである。


利益を最大化するためには、他者を信用し、協力しなければならない。これは普遍的な真理であって、ゲーム理論によらずとも、人々は古くからこのルールに従ってきた。たとえば近江商人の「三方よし」は、囚人のジレンマを回避するための智恵である。相手の利益を最大化するための行動が、自分の利益を最大化することにつながる。もちろん常にそうであるわけではないが、より多くの利益を得ようとするならば、我々は囚人のジレンマから抜け出さねばならない。

人類はみな、地球という牢屋に閉じ込められた囚人である。囚人同士で騙し合いをしても、自分の利益を損なうだけである。ゆえに、自分の利益を第一に考えるならば、協力以外の選択肢はあり得ない。では、何がそれを阻んでいるのだろうか。何が人類の団結を妨げているのか。

それは無知である。ゲーム理論の信奉者は、人間は自分の利益しか考えることができない、と思い込んでいる。それは一種の慰めであり、キリスト教でいうところの赦しに近いものである。人間はこれこれのものである、だから自分もこれこれのことをしてしまう。それが人間の性質だから仕方ないのだ、という言い訳をするために、彼らはゲーム理論を利用しているのである。

実際には、人間は、他人の利益を考えた行動をとることもできる。しかし、ゲーム理論の信奉者は、自分がそうした行動をとりたくないので、人間は他人の利益を考えられない、という前提で理論を作ろうとする。そこから何とかして人間の協力関係を導き出して、自分への慰めにしようとしているのである。

あまりにも愚かである。自分たちの研究を、自分たちの行動を変えるために用いることができない。むしろ、自分が愚かな行動をとることを正当化するために、それを用いているのである。ヨーロッパの学問は無知しか生まない。それは人間をより愚かにするための学問である。


では、どうすれば人々の行動を変えられるのか。どうすれば自分の行動を変えられるのか。

必要なものは信仰であり、信念である。天皇陛下を信じることである。天皇に敵はいない。なぜならば、天下万民を平等に愛するからである。それゆえに、陛下を信じることによって、我々は互いを友とすることができる。このような愛はむしろ慈悲と呼ばれるべきだろう。理屈はいくらでもつけられるが、結局最後は個々人の信念による。精神の鍛錬が必要である。鍛錬とは読書と座禅である。

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