合衆国憲法と人種差別

1

合衆国憲法は、黒人奴隷のことを、労働に従う義務のある者、と表現している(第四条第二節の逃亡奴隷の条文)。建国の父たちは、祖国に奴隷制度があるという事実を隠そうとして、わざと婉曲的な表現を用いたのである。この欺瞞に満ちた表現こそが、現在まで続く人種差別の原因である。

奴隷制度そのものが問題だったのではない。それを隠そうとしたことが問題だったのである。もともと存在しない制度を廃止することはできない。奴隷制度は、憲法上で存在を認められていなかったので、それを完全に否定することもできなかった。そのためアメリカには、いまも精神の上で奴隷制が生き残っているのである。

合衆国憲法そのものが、欺瞞の上に成り立っている。だから、それをいくら修正してみたところで、嘘を嘘で塗り固めることにしかならない。人種差別の問題を解決するためには、合衆国憲法そのものを否定するしかないだろう。

また、インディアンをあらかじめ合衆国から排除していることも、大きな問題である。インディアン・ネーションという言葉には、あらゆる欺瞞が凝縮されている。どうしてこのような憲法の下で生活することに耐えられるのか、私には理解できない。

どれほど美しい言葉で飾っても、嘘は嘘である。アメリカ人はいつになったら、このことに気づくのだろうか。

2

アメリカの政治家は何かというと、大統領の命令を絶対的な権威として持ち出す。彼らはまるで、これは大統領の決めたことだから、我々は従わざるを得ないのだ、あるいは、我々は大統領の決定に口を出してはならないのだ、と考えているようである。

しかし、そのような態度は、民主国家の自由な国民にはふさわしくない。むしろ、独裁国家の官僚にふさわしいものである。

大統領の判断が間違っているならば、国民がそれを正さねばならない。大統領が間違った判断しか下せないのであれば、国民が彼を辞めさせなければならない。それが民主主義である。大統領の決めたことだからといって、何でもかんでも唯々諾々と従うのは、全く民主的ではない。それは独裁的である。

アメリカ人は、口では盛んに民主主義を唱えていながら、彼ら自身は全くそれを実践できていない。だから彼らは、世界中からばかにされ、笑いものにされているのである。アメリカ政府の言葉や行動は、世界から全く信用されていない。

そして、アメリカ人がばかにされる度に、彼らと同盟関係を結んでいる我々日本人も恥をかかされることになる。これ以上、同盟国に恥をかかせないで欲しいものである。

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