中国軍の脅威をいかに理解すべきか

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コロナ騒動に便乗して、最近、中国軍の動きが活発化しているようである。このような問題について考えるとき、我々は次のことに注意しなければならない。それは、中国政府の対外的な行動は、基本的に国内政治の現れにすぎない、ということである。

たとえば、習近平政権が台湾の併合を主張するのは、そうしないと、党内の他の派閥に批判されかねないからである。中国人は面子にこだわるので、他人から批判されないかどうか、ということを常に気にしながら行動する。

沖縄近海や尖閣諸島に中国の軍艦が出没するということも、軍事的な脅威としてとらえるべきではない。むしろそれは政治問題であり、しかも中国国内の権力闘争の一部にすぎない。もちろん、あわよくば領土を拡大しよう、という考えもあるだろうから、警戒を怠ることはできない。

中国人は、内政の延長として対外的な軍事行動を行う傾向があるので、それは自然と無軌道なものになりがちである。つまり中国国内には、人民解放軍による軍事力の行使を抑止できる人間はいない、ということである。

中国の軍事力は、誰かがコントロールしているわけではない。ただ、軍内部及び党内部の、派閥間の競争やけん制の結果として、それぞれの部隊の行動が決定されているだけである。中国軍には統一的な意思が存在しない。それが最も危険なことである。

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この辺りの事情は、次のように考えれば分かりやすいだろう。

もしも、習近平に対立する派閥の影響下にある軍隊が、対外作戦において大きな成果を上げたならば、その結果として、その派閥の首領の政治的な地位は高まるだろう。彼は党内での発言力を増し、いずれ習近平を追い落とすことになるかもしれない。

日本では、このようなことはほとんど考えられないことである。しかし中国においては、政治と軍隊の距離は非常に近い。軍事行動の成果が、中国国内の権力闘争と密接に関係しているということに、我々は注意しなければならない。

我々は、中国軍による無軌道な拡大政策を抑止するために、地域における軍事的な連携を高めなければならない。そして、いずれは東アジアにおける覇権を確立するべきである。

東アジアにおけるアメリカのプレゼンスが弱まっているために、中国軍の行動はさらに無鉄砲なものになりつつある。このことは、中国以外の国々にとって脅威であるだけではなく、中国国内の政治的な安定性を損ないかねないという意味で、中国人にとっても脅威であると言える。

中国の動きをけん制し、東アジアに軍事的な安定をもたらすことは、日本が果たすべき責務である。

<参考>
中国を封じ込める
多民族国家
東南アジア

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