医術の目的

医者の仕事とは何か。

医者には、人間の命を救うことはできない。なぜならば、人間はみな死ぬからである。医者が一度救った命も、そのあと必ず死ぬのだから、命を救うことは医術の目的ではありえない。

医術の目的は、人間がよく生きる手助けをすることだろう。それは必ずしも、寿命を延ばすことを意味しない。ゆえに、医術は生活に根差したものでなければならない。人間の生活を向上させるものでなければならない。その意味で、寿命を延ばすことだけを考える西洋の医学は、正しい医学とは言えない。

80過ぎの婆あの命を救ったとしても、どうせすぐ死ぬ。そこにいったい何の意味があるのか。婆あの命を救ったとしても、米ができるわけではない。米を作るためには、稲を植えて、育てて、刈り取って、苗を作らなければならない。そして米がなければ、我々は生きてゆくことができない。婆あの命を助ける暇があったら、稲を植えたほうがましである。

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