社会を変える

社会を変えようと思う必要はない。我々が何もしなくても、それは勝手に変わる。バナナは放っておけば黒くなるし、ジャガイモは放っておけば芽を出す。それは、誰かが手を加えたわけではない。

それと同じように、この世界にあるものはすべて、それ自体の性質として常に変化し続けている。だから、何かを変えようと努力することも、あるいは変わらないように努力することも、どちらも愚かなことである。

変化は、人間にとって都合よく起きるとは限らない。もしも神様がいるとすれば、彼は人間のことだけでなく、他の生き物のことも同じように考えているのだろう。果物が腐ることは、人間にとっては良くないことだが、ハエやカビにとっては都合のいいことである。

しかし、変化を利用することはできる。果物は腐りかけがおいしいので、だめになる寸前にジャムにしてしまえばよい。また、米に付くカビを利用して酒を造ることもできる。そのように、変化を利用して生活することが賢い生き方である。

政治の仕事は、社会を変えることではなく、社会が変わらないようにすることでもなく、経済を回すことである。

<仏教と表現 終>

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