記号論

仏教

論難に答える 第4回

哲学と因果律 たとえば、因果律を定義することはできないとか、哲学的にそれを証明することはできない、という話がある。そうだとすれば、哲学には価値がないことになる。なぜならば、現実の出来事には全て原因があるのだから、それを説明することができない学問には何の価値もない。 因果律の議論をする哲学者に対しては...
仏教記号論
IV. 恥の文化

徳の教育、知性の教育

1 AIと人間の違い カンガルーの顔を見ると、いつも不思議な気分になる。鹿の顔のようにも見えるし、ウサギのようにも見えるし、馬のようにも見えるが、そのどれとも違う。どこかで見たような気がするけれども、いままで見たどの動物とも違う。カンガルーの顔はカンガルーの顔としか言いようがないのだが、なんとなく何...
社会記号論
VI. 記号心理学

記号心理学

情動は記号の一部であり、解釈項として理解できる。たとえば、お腹が空いているときに、あなたの目の前に美味しそうなりんごがあったとしよう。あなたは手を伸ばしてりんごを取り、食べる。このとき、あなたはりんごを見て食欲がわき、それに突き動かされて、りんごを食べたわけである。 このように、その個体にある特定の...
科学記号論
VII. 芸術と模倣

全称命題と単称命題

全称命題と単称命題の区別は、現代論理学の基本である。アリストテレスはこれを厳密に区別できていなかった、という指摘があるが、それはおそらく正しいだろう。普遍と個物の関係を把握することは常に難問であり、そもそも論理学で扱いきれる問題ではない。 しかし、この区別には基本的な重要性がある。そして、哲学者や思...
思想記号論
IV. AIと哲学

AIと哲学

1  最近は機械学習、いわゆるAIの技術が進歩している。大量のデータを処理し、人間が気づかない物事の関係性に気づいたり、人間の代わりに判断ができると言われている。  たとえば、AIに犬と猫の画像を大量に見せると、自然に犬と猫の区別ができるようになる。AIは、犬の特徴と猫の特徴を自分で見つけ出し、それ...
科学記号論
I. 科学と信用

浄土について

1 浄土、浄土と言っても、浄土という言葉に対応する実体がどこかにあるわけではない。すべての言葉は空であって、中身がない。ある言葉に意味があるということは、その言葉に対応する何らかのものが存在するということではなく、その言葉が何らかの働きをなしうるということである。 ソシュールの記号論では、記号の表現...
仏教記号論
IV. 日本の平和

プラグマティズムとは何か

パースは、プラグマティズムの創始者と目されている。だが、彼自身は自分の立場をプラグマティシズムと呼び、ジェームズらの哲学運動から区別していた。 現在では、プラグマティズムは価値の相対化や真理の相対化を目指す立場だと考えられている。それぞれの言葉には実用的な価値しかなく、哲学的な用語の実在性を信じるべ...
記号論
IV. 日本の平和

人間は記号である

1 人間は記号である、とパースは言った。 記号と物を区別する考えが西洋にはある。しかしパースによれば、物は記号の一種でしかない。なぜかといえば、物が存在する、という考えがそもそも誤りだからである。 あるものの存在を知るとき、我々は、それを何らかの感覚器官を通して知ることになる。最も分かりやすいのは目...
科学記号論
論文

精神の本質

English version 1 序論 1.1  我々の精神は、どこにあるのだろうか。 もしも精神が存在するものであるならば、それが存在する場所がなければならない。それは、我々の身体の中にあるのだろうか。それとも外にあるのだろうか。 それが外にある、と考えることはできない。常識から言えば、それは我...
科学記号論