小論集1

小論集1

親鸞について

1  親鸞の思想的な先駆者は、法然ではなく、明恵だと思われます。なぜならば、明恵による念仏宗批判の最も重要な部分を、親鸞はそのまま受け入れているからです。そして、その上に、全く新しい念仏宗の基礎を築きました。浄土真宗は、他のいかなる浄土宗とも異なる、真実の宗教です。  明恵の批判は原理的なものでした...
仏教
小論集1

熱交換について

1  この宇宙に存在するあらゆるものは、互いに熱を交換し合っています。それがどれほど遠くにあろうとも、物理的に接触していなくとも、熱の交換を妨げることはできません。  一般的に、熱の交換は輻射という形で行われます。つまり、光が熱を伝えています。あらゆる物体は、その温度に対応した光を、常に放出し続けて...
科学
VII. 遊牧民の世界史

東条英機

1 率直に言って、大東亜戦争の作戦指導は不可解である。 戦争の歴史を知る人なら分かると思うが、戦線を拡大するということは、常に危険なことである。戦線が伸びると、そのぶん一箇所に配置できる兵力が少なくなるので、敵に突破されやすくなる。とくに味方の兵力が少ない場合には、戦線をむやみに拡大することは禁物で...
大東亜戦争歴史
VII. 遊牧民の世界史

最近の中国について

1 以前、上野の博物館で故宮博物院展というのをやっていて、見に行ったことがある。かなりすごかった。国宝級の文物が惜しげもなく公開されていて、圧倒された覚えがある。あれは中国そのものだった。 故宮博物院が台湾にある意味は大きい。あれがある限り、台北は中国の首都だと言ってよいと思う。共産党が台湾にこだわ...
中国
VII. 遊牧民の世界史

宗教と歴史

1 文化の違いが相互理解を阻むということは、よくあることである。日本人の場合、戦争の巧みさで他の人々を評価するところがある。このあたりが、宗教的な人間には理解しにくいらしい。 キリスト教やイスラム教では、戦争や暴力を軽蔑するところがあって、そういう話をあまり好まない。ペルシャ人などは、昔はキュロス大...
宗教歴史
VII. 遊牧民の世界史

朝鮮半島

1 太平洋は広い。広大である。その太平洋を挟んだ反対側にある極東において、アメリカの政治的な力が発揮されるということが、本当にありうるだろうか。 極東におけるアメリカの力は、本質的には日本の力である。日本が発揮する力に、アメリカという名札を貼り付けただけの、いわば産地偽装商品である。 朝鮮半島の政治...
歴史
VII. 遊牧民の世界史

遊牧民の世界史

1 遊牧民の世界と中原とは、おそらく不可分のものである。古来、遊牧民の活動が中国の農耕民に影響を与え、また逆にその影響を受けてきた。 遊牧民といっても、彼らだけで自足できるわけではない。羊を引き連れて生活するために、タンパク質が不足することはないが、穀物は農耕民から手に入れるしかない。そのため、彼ら...
中国歴史
VI. 仏教と表現

社会を変える

社会を変えようと思う必要はない。我々が何もしなくても、それは勝手に変わる。バナナは放っておけば黒くなるし、ジャガイモは放っておけば芽を出す。それは、誰かが手を加えたわけではない。 それと同じように、この世界にあるものはすべて、それ自体の性質として常に変化し続けている。だから、何かを変えようと努力する...
社会
VI. 仏教と表現

復興と経済

1 東日本大震災から九年が経ったが、被災地の復興は遅々として進んでいない。私が思うに、原因は過疎化である。被災した地域の大部分は震災前から過疎化が進み、経済が回らなくなっていた。そこへ震災が起きたせいでさらに人口が減り、これらの地域は回復不可能なほどの打撃を受けている。 だから、被災した地域を元に戻...
社会経済
VI. 仏教と表現

戦争責任と慰霊

1 日本人はもしかすると、加害者と同化することによって、自分が被害者であったことを忘れようとしているのかもしれない。 日本はかつて欧米による侵略の被害者であった、というか被害者になりかけた。結局、戦争によってそれを退けることができたのだが、その被害者としての記憶を忘れるために、自分は加害者だと思い込...
歴史