万里の長城

 現在の中国は南北朝時代である。清朝から禅定を受けた、中華の正統王朝たる中華民国は南方の台湾に依り、簒奪者たる北朝の中国共産党と対立している。このような状況で、日本政府がとるべき立場はいかなるものか。我々はどちらの王朝に協力するべきか。

 アジアの安定のために我々が心掛けるべきことは、漢民族の境界を定めることである。漢民族の生存範囲は、長城線の内側でなければならない。我々は、漢民族の無制限の膨張を許してはならない。それは確実にアジアの安定を乱すだろう。
 そのために、我々は台湾政府に協力するべきである。我々は、国民政府が中国を統一するべきだとは考えないし、それが可能であるとも考えない。しかし共産党に対する抑止力として、国民政府には利用価値がある。漢民族を長城線の内側に押し返すために、我々は中国の南北分裂を利用しなければならない。

 この点に関して、我々はロシアの協力を期待することができる。満洲は仕方ないとしても、沿海州まで漢民族に渡す必要はない。中国とロシアの国境を新しい長城線にするべきである。
 南モンゴルに関しては、判断が難しい。モンゴル高原は、ゴビ砂漠を挟んで南北二つに分けられる。北がモンゴル国であり、南が中国領内モンゴル自治区である。本来の長城線は南モンゴルと山西省及び河北省の間にあり、私は現在でもそこにあるべきだと思うが、現実問題として、南北モンゴルの境界にまで北上させるべきなのかもしれない。南モンゴルの中国化がどこまで進んでいるのか、私には判断できない。
 東トルキスタンとチベットの独立は認められるべきである。これらの地域は漢民族の領域ではなく、いかなる中国化の試みも許されない。すでにこれらの地域に居住している漢民族の処遇に関しては、それぞれの政府に委ねられるべきである。

 また、千島列島は日本の領土であり、ロシアによる占領は不当である。漢民族同様、ロシア民族の膨張も度を超すべきではない。ロシア人の生存権を確保したいのであれば、まず近隣諸国との共存の道を探すべきであろう。言い古された言葉だが、強欲は破滅のもとである。
 我々には、ロシアの安全保障を脅かす意図はないし、また、アメリカがそうすることを許すつもりもない。日本列島の主権は日本国民の手中にあり、他のいかなる勢力がそれを脅かそうとも、我々は全力でそれを守り抜くだろう。千島列島が日本に返還された後でも、国後水道を通過するロシア船舶の安全は日本国民が保証する。
 以上の事柄をつつがなく実現するために、日本国民は、アメリカ政府に対して全面攻勢に出なければならない。あらゆる手段を駆使して、東アジアにおけるアメリカ政府とアメリカ軍の地位を抹消するべきである。なぜならば、これらの問題を理解するだけの知能をアメリカ人は持ち合わせておらず、彼らの存在は、必ず我々の行動を妨害することになるからである。

 では、千島を日本に返すことで、ロシア人に何の得があるのかといえば、彼らには、天皇陛下の前に跪く権利が与えられる。ロシアの皇帝は滅ぼされ、中国の皇帝も滅ぼされた。唯一勝ち残ったのは日本の天皇である。ゆえに、天皇陛下は全アジアの皇帝であらせられる。

タイトルとURLをコピーしました