IV. 恥の文化

IV. 恥の文化

輪廻と主体性

宿業という言葉がある。前世の行いによって、今世における自分の状況が決定される、という考えである。貧乏な人は、前世で泥棒をしたからそうなったとか、飢餓に苦しむ人は、前世で食べ物を粗末にしたのだ、とか言われる。こういった話にどんな意味があるのだろうか。 ここにあるのは絶対的な主体性である。自分が置かれて...
仏教
IV. 恥の文化

ポスト・トゥルース

最近はフェイクニュースが流行っていて、人々は、どうすればだまされずにすむか、ということに興味を抱いている。また、ポスト・トゥルースという言葉もあって、もはや真実など必要ない、と考える人もいる。 だが、人間社会にフィクションが蔓延しているのは、いまに始まったことではなく、歴史の始まりから、人はフィクシ...
仏教
IV. 恥の文化

日本の思想

親鸞 日本には思想がないとか哲学がない、と言われることがある。中国には諸子百家があり、哲学や思想はたくさんある。インドにも六派哲学のような学問の伝統があり、体系的な思想の宝庫と言える。では、日本はどうか。日本には思想家がいるのか、哲学者がいるのか。 そういう人物の名前を挙げようとしても、なかなか出て...
思想
IV. 恥の文化

さとり

さとりは一つの体験である、と言われることがある。それも間違いではないが、正確ではない。さとりとは、一つの認識である。それは非常に明瞭で、輪郭のくっきりしたものである。 たとえば、はじめは壺に見えるが、よく見ると人の顔にも見える、というだまし絵がある。一度それが見えてしまうと、壺と顔の両方が見えるよう...
仏教
IV. 恥の文化

人と獣の住み分け

国土の手入れ 最近赤とんぼを見なくなった。昔は秋になると、空を埋め尽くすほどの赤とんぼがやって来たものだが。彼らはどこに行ったのだろう。 トンボやメダカなど、日本の田園を象徴する動物たちが姿を消し、そして田園そのものも姿を消しつつある。新幹線に乗ったときに目につくのは、きれいに植えられた田んぼではな...
環境問題社会
IV. 恥の文化

徳の教育、知性の教育

1 AIと人間の違い カンガルーの顔を見ると、いつも不思議な気分になる。鹿の顔のようにも見えるし、ウサギのようにも見えるし、馬のようにも見えるが、そのどれとも違う。どこかで見たような気がするけれども、いままで見たどの動物とも違う。カンガルーの顔はカンガルーの顔としか言いようがないのだが、なんとなく何...
社会記号論
IV. 恥の文化

恥の文化

東アジアの国際秩序 沖縄の米軍基地を擁護する人々は、米軍がいなくなれば、日本を守ることができなくなる、と考えている。しかし、米軍がいなくなったところで、誰が日本に攻めてくるのだろうか。実際のところは、アメリカが日本を侵略したのであって、それ以外の国を心配する必要はない。 アメリカ軍がいなくなっても、...
中国政治