イラク戦争について

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イラク戦争のとき、アメリカ政府は、イラクには大量破壊兵器がある、と言って戦争を始めた。日本はアメリカの行動を支持し、イラクに自衛隊を派遣した。また、イギリスも派兵を行った。

戦後、イラクには大量破壊兵器が存在しなかったことが明らかになった。そもそもイラクが大量破壊兵器を保有しているということが、なぜ戦争の理由になるのかが分からないが、それすらも嘘だったというのだから、大義も何もあったものではない。

このことに関してイギリス政府はその原因を調査し、数百ページにも及ぶ報告書をまとめたそうである。おそらくそこで、どうしてそのような間違いが起きたのか、再発防止のために何をすべきか、といったことが議論されたのだろう。一方で、日本政府の報告書はたった数ページだったという。

2

欧米には言い訳をする文化がある。自分の犯した間違いを長々と釈明する文化である。なぜそんなことをするかといえば、自分に責任がないことをアピールするためだろう。

こういった理由で間違いが起きたのであって、これは不可抗力であった、防ぎようがなかった、これから再発防止のためにこういうことをやるつもりだ、というような説明をすることで、相手に許してもらおうとしているのである。

このような行為の背景にあるのは、どんな罪でも許されるべきだ、という考えであろう。そして、十分な説明がなされたならば、相手の間違いを許さなければならない、という文化である。

一方で日本には、言い訳を恥ずべきこととする文化がある。自分がしたことに対しては、自分で責任を負わねばならないのであって、相手に許してもらうために言い訳をするということは、潔いことではない、という文化である。

このような考え方は、個人の主体性を確保することにつながる。相手に許してもらうことを期待する人間は、相手の間違いをも許さなければならなくなる。逆に他者の許しを拒否する人間は、他者の過ちを厳しく裁くことができるようになる。それは自立しているということである。他者の要求によらずに、自分の判断を貫くことができる、ということである。そのような自立性を確保するために、日本には言い訳をしないという文化がある。

欧米には自立した個人は存在しない。自立した人間は日本にしかいない。

3

イラクで死んだ人間は、言い訳をしても戻ってこない。このような場合、言い訳をするべきではない。

日本政府に関して言えば、そもそもアメリカに追従したことに問題がある。大した考えも持たずに他国の戦争に便乗することは、まさに愚の骨頂である。時の首相に経綸がなかったのだから、仕方ないと言えば仕方ないが、あのような政治家しかいなくなってしまった日本という国の精神は、ずいぶんと情けないものになったらしい。この国のどこを探しても、もはや自立した人間など見つからないかもしれない。口惜しいことである。

また、安保法制はあまりにお粗末である。本当に安倍首相を応援している人がいるのであれば、彼がこれ以上生き恥をさらす前に、引導を渡してやるべきではないのか。戦争に勝つためには大義が必要である。国益のために戦っても勝つことはできない。

4

どうも最近の日本人は、自衛隊は戦争をすれば必ず勝つ、と思い込んでいるようである。戦争をするかしないか、といった議論は盛んに聞こえてくるが、自衛隊が負けるかもしれない、と心配している人は一人もいない。

これでは勝てるはずがない。いま戦争が始まれば、日本は必ず負けるだろう。なぜならば、どうすれば勝てるか、ということを誰も考えていないからである。

国家の主権者は、戦略に対する深い知識を持っていなければならない。なぜならば、主権者の判断が勝ち負けを決めるからである。主権者が正しい判断を下すならば、軍隊は勝つだろうし、間違った判断を下すならば、軍隊は負けるだろう。戦争に勝つために何をすればよいか、ということを知らない人間に、戦争をすべきかどうか、という判断ができるはずがない。

日本の主権者である日本国民は、須らく戦略の知識を有していなければならない。自衛隊が負けないために何をすればよいか、ということを十分に理解していなければならない。そうでなければ、主権者の資格はない。

戦略以外の話をすれば、戦争に勝つために一番重要な要素は結束力である。総大将を中心として、将兵が一丸となって機能する軍隊が最も強い。そのためには、大将に対する忠誠心が必要である。全ての兵卒が大将のために命を投げ出す覚悟を持っていなければならない。

たとえば、安倍晋三のために命を投げ出す覚悟のある人間が、この世界に一人でもいるだろうか。いるはずがない。したがって、彼は大将にふさわしくない。では、誰が大将であるべきなのか。よく考えてみるべきである。

また、自衛隊とアメリカ軍の協力関係については、慎重に考える必要がある。おそらくアメリカ軍は、有事の際には何の役にも立たないだろう。その理由は、彼らが信用できないというよりは、その能力がないからである。自衛隊が単独で行動する方がずっと効果的だろう。

こういった問題については、アメリカ人のヒステリックな反応を引き起こさないように、注意深く進める必要がある。アメリカ人に接するときは、精神病の患者に接するようにしなければならない。

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