韓国併合

安重根は、天皇陛下のために伊藤を撃った。陛下の御心は正しいものであるが、伊藤のような奸臣がそれを歪めている。だから伊藤を撃って政治を正そうとした、というわけである。

彼の言い分は、基本的に二・二六の将校たちと変わりがない。かの将校たちが忠義の士とみなされうるならば、安も同様に評価されねばならない。

彼の考えから理解できることは、西洋の侵略に抵抗するために、朝鮮人と日本人は力を合わせねばならない、という認識が、当時の朝鮮人の間に存在したということである。これを前提としなければ、日韓の併合が、大した抵抗もなく実現された理由は理解できないだろう。

日本による韓国併合は、本質的には日韓同盟であったのだと思う。それは、西洋列強に対抗するための、東洋人同士の同盟である。それが一方的な併合という形をとったことは、ある意味では日本の落ち度であり、ある意味では必然であった。

しかし本当の問題は、それが植民地支配であったかどうかということではなく、その結末である。日本が朝鮮を一方的に支配していたのであれば、その分だけ、日本には朝鮮を安堵する義務があったと言える。朝鮮人が日本による支配を受け入れたのは、欧米人に対する防衛のためであり、つまり、朝鮮の平和を守るためである。その目的は、達成されたと言えるだろうか。

日本が韓国に対して何らかの罪を犯したのだとすれば、それは、朝鮮戦争を防げなかったことであろう。この点から見れば、日韓同盟は失敗したと言える。朝鮮は戦場となり、平和は破られてしまった。日本は義務を果たせなかったわけである。

このことに関して、日本は韓国に謝罪するべきなのかもしれない。それは、韓国を鬼畜の手に渡してしまったことへの謝罪である。日本人は、アメリカ人のように朝鮮人を殺したわけではない。

一方で、北朝鮮と韓国がどちらも独立を保っていることを考えるならば、日韓同盟も完全な失敗ではなかったのかもしれない。

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