大智度論

大智度論

現代語訳大智度論 第十二巻

(大智度論釋初品中檀波羅蜜法施之餘) 初品の中の「施しの完成(檀波羅蜜)」の法施の解説の続き。 問 1 檀那波羅蜜の満とは何か。 答 檀那とは、上で説いたとおりである。波羅蜜とは「施しの川を渡って、彼岸に至る」という意味である。 問 2 では、「彼岸に至らない」とはどういうことか。 答 たとえば川を...
仏教大智度論
大智度論

現代語訳大智度論 第十一巻

(釋初品中舍利弗因縁第十六は省略。釋初品中檀波羅蜜義第十七から始める) 初品の中の「施しの完成」の意義を解説する。 経 仏はシャーリプトラに告げた、「菩薩大人は安住しないという方法で智慧の完成の中に安住し、捨てることがないという方法で施しの完成を成就するべきである。施しを行う者と、施しを受ける者と、...
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現代語訳大智度論 第六巻(下)

経 礙さふることなく、畏おそるる所ところなきことを得う。(足止めされることがなく、畏れることがないことを得る) 論 認識・感覚・感覚の対象の中に現れる種々の原因のなかに、心が足止めされることがなく、尽きることがなく、消滅することがない。これを「礙ることなく、畏れる所なし」という。 問 15 先に「諸...
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現代語訳大智度論 第六巻(上)

(大智度初品中十喩釋論第十一 第六巻) 初品の中の十種の比喩を解説する。 経 (これらの菩薩は)諸々の現象は幻のようであり、陽炎のようであり、水中の月のようであり、空間のようであり、響きのようであり、蜃気楼のようであり、夢のようであり、影のようであり、鏡の中の像のようであり、化のようである、と理解す...
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現代語訳大智度論 第二巻(上)

(大智度初品總説如是我聞釋論第三 第二巻) 次に、「如是我聞一時」を総説する。 問 仏が一切智をもつ人であり、師匠につかず、他の教えに従わず、他の法を受けず、他の方法を使わず、他の言うところに従わずに、自然に悟りを開き、教えを説くのならば、どうして「このように私は聞いた」と言うのか。 答 あなたの言...
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現代語訳大智度論 第一巻(下)

摩訶般若波羅蜜初品如是我聞一時釋論 第二 (初品の中の「如是我聞一時」を解説する) 経 是かくの如ごとく我われ聞きけり、一いち時じ(私はある時、このように聞いた) 「如是」 問 11 なぜ、経の初めに「是かくの如ごとく」と言うのか。 答 限りない仏の教えは、信じることを始まりとし、知恵を手段とする。...
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現代語訳大智度論 第一巻(上)

はじめに 仏教学の世界では、サンスクリットやチベット語の文献研究が盛んで、それらの日本語訳はたくさん発表されている。一方で、漢文でしか残されていない仏典に関しては、ほとんど翻訳がないのが実情である。 もちろん国訳といわれるものはあるが、それらは基本的に漢文調の文章である。読み慣れた人には味わい深くて...
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大智度論の成立過程

大智度論はどのように成立したのか、ということに関しては、様々な考察がなされてきた。ある人によれば、それは龍樹の作ではない。他の人によれば、半分は龍樹の作である。ここで、大智度論を読んでいて、私なりに気付いたことを述べたい。 はじめに気付くことは、文章の流れが不自然に切られている部分が多いことである。...
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