政治

書評

改めて、ジョン・ロック『統治論』を読み解く

ジョン・ロックの『統治論』は1689年に公刊された。本書は前後編に分かれており、『統治二論』と呼ばれることもある。前半部は王権神授説の批判に当てられ、後半で社会契約の理論が展開される。本稿では主に後篇を批判的に読解する。 今回参照したのは伊藤宏之訳『改訂版 全訳統治論』(八朔社、2020)である。 ...
思想政治
書評

ルソー『人間不平等起源論』を読み解く

今回は、ジャン=ジャック・ルソーの1755年の著作『人間不平等起源論』を読み解きます。 本稿では、ルソーのもう一つの主著『社会契約論』にも言及します。『社会契約論』は1762年に発表された本で、人民主権をうたい、フランス革命に影響を与えました。 参照したのは小林善彦、井上幸治訳『人間不平等起源論 社...
思想政治
書評

斎藤幸平『人新世の「資本論」』を読み解く

斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』を読み解きます。 1 本書の主題は、気候変動への対策を議論することである。国連のSDGsによって示されたように、気候変動は人類社会にとって大きな問題になっている。その問題の大きさを読者に再認識させ、かつ、既存の対策の不十分さを示すことが、第1章から第3章までの内容...
世界政府政治経済
書評

東浩紀『訂正可能性の哲学』を読み解く

先日、X(旧twitter)をはじめました。この記事は、Xでのつぶやきをまとめたものです。 本稿は、表題の本を読み解き、リベラリズムを批判する内容になっています。今後しばらくは、気になる本の読解を行っていくつもりです。 第一部 本書は二部に分かれている。第一部ではリベラリズムについて、第二部では民主...
思想政治
政治

安倍晋三の一周忌

なので、この事件の報道をよく目にする。もう一度論点を整理したい。 まず、山上被告はいち私人にすぎないので、彼について語るべきことはない。一方で、安倍晋三は公人である。彼は歴代最長の内閣総理大臣であり、歴史に名前が残る人物である。ゆえに、彼の人生は厳しく批評されねばならない。 むかし、幕末のころ、井伊...
政治社会
世界政府

バイデンの火遊び

アメリカ合衆国第46代大統領ジョー・バイデンは、2009年から2017年まで同国の副大統領を務めていた。彼はその間に6度もウクライナを訪問している。 バイデンはウクライナのNATO加盟を支持した。また、2014年のロシアによるクリミア併合の後には、対戦車ミサイル「ジャベリン」の供与を提案した。202...
世界政府政治軍事
軍事

防衛費増額は自衛隊を強くするか

いま、日本政府は軍事費を増やそうとしている。復興予算を防衛予算に流用する、という話まで出ている。南シナ海における中国軍の活発な動きや、北朝鮮のミサイル実験に呼応するものだと思うが、こんなやり方で軍備を拡張しても、軍は強くならないだろう。 国会では敵基地攻撃能力が議論されている。これはミサイル攻撃のこ...
政治軍事
政治

安倍晋三銃撃事件について

2022年7月、元首相の安倍晋三氏が街頭演説中に銃撃され、死亡する事件が起きた。犯人の供述によれば、動機は政治的なものではなく、旧統一教会への恨みを晴らすためだった。はじめは教団の指導者を標的にするつもりだったが、暗殺の困難を悟り、教団の広告塔になっていた安倍に狙いを変えたという。 この事件は、他の...
宗教政治
軍事

ロシアのウクライナ侵攻について

公平な裁き 2022年2月24日、ロシア軍がウクライナへ侵攻を開始した。テレビでは連日この事件を報道しているが、いつも通りロシアを非難する論調ばかりである。 ロシア側によれば、事の発端は東西ドイツ統一後にNATOとの間で交わされた約束にあるという。それはNATOをドイツより東には拡大させないという内...
世界政府政治
思想

民主主義の欠陥

アメリカの場合 先日開かれたCOP26にアメリカのバイデン大統領が出席した。前回のCOP25にトランプ大統領は出席せず、さらにパリ協定からの離脱も表明した。その後、共和党から民主党に政権が変わったことで、アメリカはCOPに戻ってきた。 COPだけではなく、TPPのときもそうで、アメリカは一度結んだ約...
思想政治