政治雑感

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 私が選挙権を得て、初めて選挙に行ったのは、ちょうど郵政選挙の頃だった。それまでの政治の流れを知っている人間には、小泉という人間は面白く見えたのかもしれない。だが、私のような有権者一年生にとっては、実に意味不明な選挙であった。
 郵政改革とか、自民党をぶっ壊すとか言われても、それがどうして国民のためになるのかが分からない。そもそも、その候補者の言う通り、自民党をぶっ壊すべきだと考えるのであれば、どうして自民党の候補に投票しなければならないのか。自民党をぶっ壊したいのなら、自民党以外の政党に投票すればよいのではないか。私はまるで、カフカの小説に迷い込んだような気分だった。

 そんなときに、共産党の候補者は主張していた。「消費税を廃止するべきである」「大企業から税金を取るべきである」。少なくとも、彼らの言葉は理解可能であった。ようやくまともな人間に出会えた、という気がした。
 それ以来、私は共産党を見つづけている。必ずしも彼らに投票するわけではないが、一定の信頼感を抱いてはいる。私は、国政選挙では一度も自民党に投票したことはない。
 私は、政治は国民のためにあるのだと考えている。強きを挫き、弱きを助けることが政治だと考えている。その点において、共産党は正しいと思う。もちろん、彼らの政策には賛同しかねるものも多いが、政治とは何であるか、という認識に関しては、私は彼らを完全に支持している。
 インテリぶった連中からは青臭いと笑われるかもしれないが、政治はゲームではない。私は、下らないゲームに付き合うつもりはない。

2

 ついでにN国に関して言えば、その主張は正しいと思う。
 彼らに投票するつもりはないが、NHKへの批判は筋が通っている。そもそも勝手に電波を流しておきながら、受信機があるなら金を払え、というNHKの言い分は、まったく意味が分からない。それならスクランブル放送にしろ、というN国の主張は、十分に納得できるものである。
 たとえば、我々は地方自治体に税金を納めるが、その使い道に関しては、選挙によって首長や議員を選ぶという形で、ある程度市民の意見を反映させることができる。しかしNHKは、半ば強制的に受信料を徴収しておきながら、そういった民主的な手続きを全く欠いている。それは、現代社会の通念に反するだろう。少なくとも、NHKの社長を選挙で決めるとか、あるいは初めから税金で運営するとか、そういった改革が必要なのではないか。

 そもそも、どうして国会でNHKの予算を審議しているのかが分からない。我々は、一私企業の予算を審議させるために、国会議員を選んでいるわけではない。いったいNHKは何のために存在しているのか。それが公共のためなのであれば、なぜ公費で運営しないのか。N国はもっと突っ込んだ議論をするべきだろう。
 最近は、水道や電力などを、民間の事業者に任せる事例が増えている。そうなると、民主主義が本当に必要なのか、政治というものがどうあるべきなのか、分からなくなってくる。誰か答えを知っている人はいないのだろうか。

<参考>
公共放送とは何か

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