I. 思想雑感

I. 思想雑感

貨幣によらない経済学

私は大学で物理学をやっていた。物理学には様々な方程式があり、その解き方を学ばないといけない。だから、計算が得意じゃないと物理学なんてできないだろう、と思われることもあるが、そうでもない。 方程式は、計算のためにあるというよりは、現実に起きていることをイメージするためにある。たとえば、トンビが空から急...
経済
I. 思想雑感

十二支縁起とは何か

仏教には十二支縁起という考え方がある。これは仏教の本質と言ってもよいものであり、非常に重要な考え方なので、ここで説明してみたいと思う。簡単に言えば、カテゴリーを横断する思考法である。 十二支とは次のようなものである。  無明によりて行があり、 行によりて識があり、 識によりて名色があり、 名色により...
仏教
I. 思想雑感

フレイザーと迷信の問題

1 以前の投稿に続いて、フレイザーの問題について、もう少し考察してみたい。 たとえば『金枝篇』第一部第十七章において、彼は次のように述べている。 「王の在世中は火を燃やし続け、その死に際して火を消す慣習は、たとえ迷信に由来するものでないにしても、自然と迷信的な解釈へと導くだろう。ある出来事のしるしと...
宗教思想
I. 思想雑感

白川静と呪術

1 白川静の文字学は、非常に整っていて面白い。文字同士の関係が見事に整理されており、漢字の構造をほぼ明らかにしていると言える。 ただ、彼の漢字解釈は呪術に基づく部分が多く、その点が分かりにくい。たとえば、口(さい)の字を呪告を入れた箱だとする解釈が、彼の漢字学の基礎をなしている。だが、どうしてそのよ...
中国思想
I. 思想雑感

女人成仏

仏教は男尊女卑だと言う人がいるが、それは当たらない。女人の成仏が難しいと言われるのには理由があり、とくに女性を卑しんでいるわけではない。卑しいといえば男性女性に限らず仏以外はすべて卑しいのであって、天上天下唯我独尊というのが仏教の本質である。つまり唯仏独尊である。 むかし白隠慧鶴という禅僧がいた。こ...
ジェンダー仏教
I. 思想雑感

学校教育の問題点

1 いじめの問題はずいぶん深刻なものになっているのだな、と『聲の形』を見て思った。この映画をちらちら見ていて印象に残ったのは、教師の存在感の薄さである。学校における子供同士のいじめに、教師が介入する余地がない、ということが分かりやすく描かれている。これは当然、近年話題になることが多い、教師の超過労働...
アニメーション社会
I. 思想雑感

思想雑感2

1 日本語に対して、中国語は外国語だと考える人が多い。たしかに北京語は外国語と言ってもよいが、漢文は外国語ではない。なぜならば、それは日本語の成り立ちに深くかかわっているからである。 日本人にとって、漢文は外国語ではない。それは我々の言語の一部である。中国の人は、漢文を音で読むしかない。そのため彼ら...
仏教思想
I. 思想雑感

思想雑感1

1 日本人の思考の型は、中国よりもインドに似ていると思う。昔から日本人は、仏教の吸収に熱心で、中国文化の受容はかなり遅れていた。もちろん、政治制度や生活習慣などは、中国を参考にすることが多かった。しかし思想の点からいうと、朱子学や儒学の研究が盛んになるのは江戸期以降で、それ以前は仏教の学者が多かった...
思想歴史