アニメーション

『シン・ウルトラマン』『シン・エヴァンゲリオン』感想

『シン・エヴァンゲリオン』完結編をようやく見た。これは信仰を失った日本人の物語である。 もう一本、『シン・ウルトラマン』も見終わったので、そっちの話から始めたい。 円谷英二には信仰があった。私はウルトラマンのファンだが、円谷についてはよく知らない。なので、あくまでも印象論として読んでほしい。 ウルト...
アニメーション大東亜戦争文化
アニメーション

フィクションにおける仮想空間の扱いについて

『オーバーロード』感想 アニメ『オーバーロード』が面白かったので、感想を書きたくなった。 この作品の魅力はロールプレイにあると思う。主人公は自分がプレイしていたネットゲームの世界に入り込んでしまい、その世界で生きていくことになるのだが、彼の操作していたキャラクターが骸骨の化け物だったため、化け物とし...
アニメーション文化

日本画における輪郭線

1 日本画の特徴は、輪郭線を描くことだと言われている。たとえば浮世絵のくっきりした輪郭線は、西洋の芸術に大きな影響を与えた。また鳥獣戯画に描かれた蛙や兎は、ほとんど輪郭線だけで描かれているが、非常に生き生きとして躍動感がある。 一方、西洋の絵画には輪郭線がない。なぜならば、静物画に象徴されるように、...
アニメーション文化
VI. ジェンダー論

物語と理念(『鬼滅の刃』感想3)

『鬼滅の刃』ブームもそろそろ落ち着いてきたので、今のうちに書いておく。この作品はよくできている。語り口が丁寧で、誰が見ても楽しめる王道の少年漫画になっている。ただ、中身が空っぽである。 たとえば『半沢直樹』には、核となる理念がある。社会はこうあるべきだとか、人はこうあるべきだ、という理想があるので、...
アニメーションジェンダー文化
VI. ジェンダー論

『鬼滅の刃』感想2

前回の続き。『鬼滅』の鬼は、どうやらゾンビではなくヴァンパイアだったようだ。 ゾンビの場合、ゾンビに咬まれた人間はゾンビになる。その人が他の人を咬むと、それもゾンビになる。ヴァンパイアの場合は、ヴァンパイアに咬まれるとヴァンパイアになるが、その人が他の人を咬んでも、それはヴァンパイアにはならない。人...
アニメーションジェンダー文化
VI. ジェンダー論

『鬼滅の刃』感想

先日テレビで『鬼滅の刃』の総集編をちらっと見て、気になったのでAmazonPrimeでTVシリーズを見ている。面白い。 これは王道のジャンプ漫画だと思う。奇をてらったところがなく、ある意味では地味だが、一つ一つのエピソードやキャラクターの描写が丁寧で、安心して見ることができる。人間的な温かさも魅力で...
アニメーション文化
II. アニメーションと日本語の感性

アニメーションと日本語の感性

1 私はこれまで、たびたびアニメーションについて触れてきた。それはもちろん、私が好きだからというのもあるが、アニメーションを通して、日本的な感性を復活させようという狙いもある。 パラパラ漫画などを描いたことのある人ならわかると思うが、アニメーションを作ろうとするとき、どの瞬間を切り取るか、ということ...
アニメーション文化
II. アニメーションと日本語の感性

ロボットと人体

1 人間型のロボットを動かすためには、関節部分にモーターを取り付ける必要がある。基本的には、一つの関節に一つのモーターを取り付ければ、関節を制御することは可能である。しかし、人間の体についている筋肉の数は、それよりもずっと多い。一つの関節に対して、三つも四つも筋肉がついているのである。 モーターは、...
アニメーション科学
II. アニメーションと日本語の感性

京都アニメーションと動画工房

1 京都アニメーションは、三次元を意識したアニメーション制作をしていたと思う。それは立体的というより、カメラを意識した画作りと言うべきだろう。 京アニは演出がうまい。床に反射した光や、カメラのレンズでぼやけた光など、様々な表情の光を丁寧に描く。そして光を描くということは、空間を描くということである。...
アニメーション
I. 思想雑感

学校教育の問題点

1 いじめの問題はずいぶん深刻なものになっているのだな、と『聲の形』を見て思った。この映画をちらちら見ていて印象に残ったのは、教師の存在感の薄さである。学校における子供同士のいじめに、教師が介入する余地がない、ということが分かりやすく描かれている。これは当然、近年話題になることが多い、教師の超過労働...
アニメーション社会