国立戒壇と政教分離

先日、YouTubeで中田敦彦の動画を見ていたら、公明党について面白い話をしていた。公明党はかつて国立戒壇の設立を主張していたが、憲法違反との指摘を受け、それを取り下げたのだという。このとき問題とされたのは、憲法20条の政教分離の原則である。仏教が宗教だとするならば、国立戒壇の設立は政教分離に反することになる。

ここで、政教分離の歴史について考えてみなければならない。政教分離の原則はヨーロッパで生まれ、基本的にはキリスト教を対象とするものであった。宗教戦争の結果として、互いの宗派を尊重し、国家権力が特定の宗派に肩入れしない、という目的で生まれたルールである。ゆえに、政教分離における宗教とは、キリスト教の各宗派を意味するのであって、歴史的な文脈からいえば、そこに仏教が含まれねばならない理由はない。

そもそも仏教とキリスト教は全く別のものであり、これらを一括りに宗教と呼び、同一視してしまうのはあまりにも乱暴である。キリスト教に対して当てはまることが、全て仏教に対しても当てはまるとは限らない。ゆえに、キリスト教に政治と関わることが禁止されているからといって、仏教にもそれが禁じられるべきだ、ということにはならない。それは過度の一般化である。

キリスト教とは、人間イエスは神であり、その人間としての神が一度死に、そして甦ることによって、人類全体が救われた、と信じる思想である。こんな訳の分からないものを、仏教と一緒にされては困る。キリスト教会が政治と関わるべきでないのは当然である。なぜならば、彼らの言葉は支離滅裂だからである。ゆえに、仏教をそれと同列に扱おうとするのは、仏陀に対する侮辱であると言わねばならない。

以上の議論によって、国立戒壇の設立は政教分離の原則に反しないことが明らかにされた。憲法20条における「宗教」に仏教は含まれていないし、また含まれるべきでもない。そもそも、宗教という語が何を指示するかが明確ではない。また、もしもそこに仏教が含まれるのだとすれば、憲法20条は誤りだと言わねばならない。

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