ある種の学者たちは、西洋の学問にどれほど価値があるか、ということを盛んに説いている。そういう人々は、ヨーロッパの学問だけが真実であって、それ以外はまやかしである、という印象を人に植え付けようとしている。いまだにこういう人たちがいるのは不思議ではあるが、かといって、彼らの活動を非難すべき理由もない。
たとえば、西洋医学を学んだ医者は、東洋の医学には根拠がないと言う。なぜそんなことを言うかといえば、そう言わないと商売にならないからである。東洋医学の方が西洋医学よりも優れている、ということになれば、彼のところには患者が来なくなってしまうだろう。そうならないように、商売相手を悪く言って、自分の株を上げようとしているのである。
しかし、それは別に悪いことではない。自分の仕事の価値を強調して、それを周りにアピールするということは、自然の権利として認められるべきである。
それと同じように、西洋の学問を学んだ学者たちは、自分の生活のためにそれを良く言うのであって、そのこと自体は、とりたてて非難するほどのことではない。
もちろん、批判は大いにするべきである。西洋のものだからといって、何でも正しいということにはならない。厳しい批判にさらされることによって、学問は発展するのである。