経済

書評

施しの経済学(グレーバー読解②)

1前回の記事を書いたあとで、グレーバーの議論は正しくはどうあるべきだったのか、を考えた。はじめに確認するのは、仕事と報酬は別のものであるということだ。仕事に対して報酬が与えられるべきだという考えは等価交換に基づくものであって、これは社会的な合意にすぎない。ゆえに現代社会のルールを超えて、我々の社会が...
世界政府経済
書評

トマ・ピケティ『21世紀の資本』を読み解く

トマ・ピケティさんの『21世紀の資本』を読んだ。2014年に出版された本書は邦訳600ページに及ぶ大著だが、読み始めると意外と面白く、一気に読み通してしまった。ひとつひとつの概念を丁寧に説明して議論を組み立ててゆくので、何も知らない状態から読み始めても、すんなり読めるように工夫してある。良い本である...
経済
書評

斎藤幸平『人新世の「資本論」』を読み解く

斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』を読み解きます。1本書の主題は、気候変動への対策を議論することである。国連のSDGsによって示されたように、気候変動は人類社会にとって大きな問題になっている。その問題の大きさを読者に再認識させ、かつ、既存の対策の不十分さを示すことが、第1章から第3章までの内容であ...
世界政府政治経済
経済

なぜアメリカは世界最強国なのか

人口減少いま、日本では人口減少が起きている。中国や韓国でも高齢化、少子化によって人口が減少しつつあり、ヨーロッパも同様の状況である。一方で、アメリカの人口は順調に増え続けている。アメリカでは出生率の高さに加えて、移民の流入によって人口が増加している。そもそも、人間が生きるためには衣食住が必要である。...
社会経済
経済

経済成長とキリスト教

付加価値とは何であるか。たとえば、一枚の布が、一人の労働者の一日分の仕事で生産されるとしよう。もしも、同じ大きさの布が、一人の労働者の半日分の仕事で生産されるようになれば、生産性は二倍に増加したことになる。ここで、その布が以前と同じ値段で売れれば、売り上げは二倍になる。一方、供給が増加したことにより...
宗教社会経済
経済

円安と日本経済の停滞

記録的円安現在、円安が進行中である。2022年4月28日には1ドル=130円台まで下落した。理由は日米の金利差だという。アメリカは景気が回復したため利上げを行ったが、日本は景気が低迷しているためマイナス金利のままである。ゆえに、ドルを銀行に預けると利息の分だけ額が増えるので、円を売ってドルを買う動き...
社会経済
政治

重農主義宣言

資本主義によって人類は豊かになっただろうか。全体としては豊かになったが、同時に貧富の格差は拡大し続け、気候変動という災厄をも生み出してしまった。ゆえに、資本主義は誤った思想であり、共産主義こそが正しい。このように主張する知識人と、それを支持する人々がいる。彼らの間違いは、資本主義と共産主義という二項...
思想経済
経済

格差の拡大が経済を成長させる

保育という仕事は生産性を向上させることが難しい。機械化も効率化もできず、子どもの面倒は人間が見るしかない。そうした手間のかかる仕事を一部の人間に押し付け、残りの人々は生産性の高い仕事に従事する。後者が生産性を向上させればGDPは増えるが、それが可能になるのは、生産性の低い仕事を他人に任せた結果である...
経済
経済

貨幣という病

GDPが社会の富を表現するという考えは、アダム・スミスにさかのぼる。彼は日用品の流通量がその社会の富を表すと考えた。ゆえに、商品の取引において用いられる貨幣の量を計ることで、その社会の富を算出できることになる。だが現代においては、日用品ではなく、貨幣そのものが富を表現すると考えられている。こうなった...
経済
経済

ITの次に来る技術

アナログからアナログへむかしの日本は技術大国として世界から尊敬されていたが、いまは見向きもされない、という話がある。電化製品や自動車など、ものづくりには秀でていたが、IT社会に対応できず、技術革新が生まれていない、と。いまは「テクノロジー=IT」と言ってもいい時代なので、ITの分野で活躍できないこと...
科学経済