I. 文学とアニメーション

『なめとこ山の熊』について

宮沢賢治に、有名な『なめとこ山の熊』という童話がある。ぜひ読んでみてもらいたい。すでに色々な解釈が与えられているが、思うに、そのモチーフは捨身飼虎であろう。物語の最後で小十郎は如来となり、熊たちはその弟子として悟りを開いたのだろう。ときどき、この童話に熊と人間の対称性を読み取ろうとする人がいるが、そ...
仏教文化
I. 文学とアニメーション

カッコウ

カッコウには、托卵という習性がある。自分とは別の種類の鳥の巣に卵を産み、その巣の親鳥に、代わりに雛を育ててもらうのである。カッコウに托卵された親鳥は、一体どんな気分だろうか。あれを、親鳥はだまされているんだ、と言う人がいるが、それは違うと思う。たぶん、親鳥は気付いている。気付いているけれども、目の前...
文化
I. 文学とアニメーション

イヨマンテ

先日、『ゴールデンカムイ』という漫画を読んだ。その中に、イヨマンテの話が出てきた。イヨマンテは、アイヌの風習である。簡単に言えば、母親を殺された子熊を村で育て、成長してから殺す、というものである。この風習にどういう意味があるのか、少し気になり、考えてみた。まず、子熊の親を殺したのは、アイヌ自身である...
文化
I. 文学とアニメーション

文学とアニメーション

日本の文学の特徴は、移ろいゆく自然を、移ろいゆくままに表現することであろう。俳句にも和歌にも、そのような特徴がある。そして、その起源は荘子にあると私は思う。たとえば『荘子』の中に、どんどん体が曲がってゆく人の話がある。毎日毎日、体がねじ曲がってゆき、日常生活も難しくなるのだが、本人は全く気にしていな...
アニメーション文化
III. 中国論集

『狂人日記』について

1中国人は人の肉を食べる。昔の中国の料理本には、人肉の調理方法が載っている。また、中国の市場に人肉が流通していたことを示す資料は、沢山ある。人肉食は、中国の伝統文化である。他方で、日本人は人間の肉を食べない。それは、あり得べからざることである。だから、太平洋戦争中の激戦地であるレイテ島などで、日本軍...
中国文化満洲
III. 中国論集

南京虐殺と便衣兵

1南京虐殺には、便衣兵の問題が絡んでいたと言われている。便衣兵とはゲリラのことで、軍服を着ていない人間が、軍隊に攻撃を仕掛けることである。彼らは一般人と同じ格好をしているので、誰が兵隊であるのか、区別ができない。日本軍が南京に入城した際、南京に逃げ込んだ中国兵たちは便衣兵になり、日本軍に攻撃を仕掛け...
中国歴史
III. 中国論集

米中戦争

1資本主義を成り立たせるために、私有財産権や知的財産権を保障する必要はない。それらの権利は、経済とは無関係の政治的要求である。したがって、アメリカの中国への要求は、純粋な内政干渉であると言える。いまアメリカが中国に突き付けている要求は、実現不可能なものである。中国は、社会主義を信奉しているから、あの...
中国政治
II. 思想論集

イエスと奇跡

1イエスは死人を生き返らせたそうだが、そんなことは、インドでは日常茶飯事である。また、彼は神の子供だというが、神の親類縁者ならば、インドにはごまんといる。聖書に記されている奇跡は、マハーバーラタと比べると、あまりにも貧相である。インドに行けば、イエスはどこにでもいる仙人の一人に過ぎない。それなのに、...
宗教文化
II. 思想論集

言葉について

言葉というものは、どれだけ厳密に定義したつもりでも、すぐにその定義から滑り落ちてしまうものである。だから、一つの言葉を、ある決まった意味でだけ使おうとしても、上手く行くはずがない。言葉を定義することはできない。だから、言葉を使うときには、その意味にこだわってはならない。言葉の意味は、それを使うたびに...
思想文化
II. 思想論集

英語の特徴

1英語が論理的な言語であるというのは、不正確な表現である。実際には、英語は、論理的な表現しかできない言語である。つまり、英語では、自分がすでに分かっていることしか、表現できないということである。しかし、自分でも十分に理解できていない考えというものも、あるはずである。ところが、そういうものを英語で表現...
思想文化