小論集2

I. 科学と信用

死者への冒涜

死人には口がない。誰かが彼のことを悪く言っても、彼自身にはそれを否定することができない。ゆえに、死者の名誉を守ることは生者の義務である。死者を悪く言うべきではない。死者を冒涜するべきではない。それは生者のおごりであり、恥ずべきことである。戦争は悪だ、と言うことは別に構わないと思う。しかし、戦死者を悪...
歴史
I. 科学と信用

いじめ

子供のいじめは、基本的に親の問題である。自分の子供がいじめをしていることに気付いたら、殴ってやらねばならない。殴らないにしても、厳しい罰が必要である。子供の異常に気付かない親は、親失格である。子供を叱ることができない親も、親失格である。子供がいじめをしていることに気付きながら、それを見逃す親は、人間...
社会
I. 科学と信用

試験と能力

最近、大学試験の改革が世間をにぎわしている。より正確な試験を求める気持ちも分からなくはないが、大事なのは試験ではなく授業の中身である。教育の目的は人間を育てることであって、人間を測ることではない。よい授業を行って、よい人材を育てることができれば、それでよいのである。試験は適当でよい。試験ばかりに気を...
社会
I. 科学と信用

避難訓練の必要性について

1最近は台風や大雨による災害が増えている。その度にニュースでは、どうすれば効率よく住民を避難させることができるか、といったことが議論されている。彼らは避難指示の出し方に問題があると考えているようだが、そうではない。指示を出すだけで、その通りに動ける人間などいない。人間を指示通りに動かすためには、訓練...
環境問題社会
I. 科学と信用

難民の受け入れ

1最近は、難民の受け入れが問題とされることが多い。日本人は難民に冷たい。移民にもあまり好意的ではないが、難民にはさらに厳しい。なぜかといえば、日本人の目には、難民は逃亡者と見えるからだろう。戦わずに逃げるような人間を助けてやる道理はない、ということである。不正と戦って死ぬ覚悟がない人間は、人間とはみ...
宗教政治
I. 科学と信用

伝統とは何か

1伝統というものがどこかにある、と考える人がいるようだ。日本の伝統だとか和食の伝統だとか、ありとあらゆるものに伝統を見つけないと、気がすまない人々がいる。これも一種の二元論である。伝統を求める人々は、自分は伝統の中にいない、と考えている。自分は新しい人間であって、古い人間とは断絶している、と思い込ん...
仏教文化
I. 科学と信用

サンマについて

1海洋資源の利用については、国際的な協調が必要である。現在の国際社会においては、領海や排他的経済水域というものが設定されていて、その範囲内であれば、主権国家は好きなやり方で海洋資源を利用してよい、ということになっている。また公海上では、どこの国がどれだけ魚を取っても構わない、という決まりである。しか...
原子力政治環境問題
I. 科学と信用

地球温暖化と経済活動

1温暖化を止めることはできる。具体的な方法は分からないが、人間が引き起こしたことなのだから、人間の取り組み次第でどうとでもなる。まず、貨幣至上主義をやめるべきである。経済的な利益の追求が、環境破壊の原因であることは分かっている。しかし、経済そのものが悪いわけではない。経済活動とは人間の生活そのもので...
環境問題社会
I. 科学と信用

浄土について

1浄土、浄土と言っても、浄土という言葉に対応する実体がどこかにあるわけではない。すべての言葉は空であって、中身がない。ある言葉に意味があるということは、その言葉に対応する何らかのものが存在するということではなく、その言葉が何らかの働きをなしうるということである。ソシュールの記号論では、記号の表現と、...
仏教記号論
I. 科学と信用

比喩について

1THE BLUE HEARTS に『リンダリンダ』という歌がある。その中に「ドブネズミみたいに美しくなりたい」という歌詞が出てくる。これはずいぶんな言い草だと思っていた。ここで彼らが言わんとしていることは、自分の心はドブネズミよりも汚い、ということであろう。自分の心に比べれば、ドブネズミの方がはる...
文化