仏教

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至心信楽の願

たとひわれ仏を得たらんに、十方の衆生、至心信楽して、わが国に生ぜんと欲ひて、乃至十念せん。もし生ぜずは、正覚を取らじ。ただ五逆と誹謗正法とをば除く。これは法蔵菩薩の第十八の誓願、至心信楽ししんしんぎょうの願である。もしも、わたしが仏になったあとに、ある人が心から浄土に生まれたいと願ったときに、彼が浄...
仏教
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ヴァイデーヒー夫人

『観無量寿経』にヴァイデーヒー夫人という人物が登場する。マガダ国の王妃で、夫のビンビサーラ王との間にアジャータシャトルという息子がいた。アジャータシャトルはあるとき父王を塔に幽閉し、王位の簒奪をくわだてた。幽閉された王は食事を与えられず、餓死しようとしていたが、妃のヴァイデーヒーが体にバターを塗って...
仏教
書評

マルティン・ハイデガー『存在と時間』を読み解く

今日は、1927年に発表されたマルティン・ハイデガーの『存在と時間』を読み解きます。先日取り上げたマルクス・ガブリエルさんの『なぜ世界は存在しないのか』と比べると、非常に読みにくく、奇抜な術語が多い本です。できるだけわかりやすく説明したいと思います。今回参照したのは原佑、渡辺二郎訳『世界の名著62ハ...
仏教思想
日本史

武士道とは何か

文明的な日本明治政府ができてから、日本は戦争ばかりやっていた。日清、日露に始まり太平洋戦争に至るまで、戦争が止むことはなかった。戦後は平和になったようにも見えるが、朝鮮戦争に際しては米軍に協力し、ベトナム戦争のときは沖縄から爆撃機が飛んでいた。最近では、イラク戦争への自衛隊の派遣が記憶に新しい。日本...
仏教歴史
仏教

論難に答える 第7回

数ある宗派の中でも、浄土真宗は国内外からの批判にさらされることが多い。彼らは法衣を着ながら酒を飲み、妻をめとる。それで本当に僧侶と言えるのか、本当に仏教なのか、と。今回は浄土真宗について解説したい。真宗の意義まず歴史背景から考察しよう。浄土真宗は親鸞が開いた宗派であるが、彼に先行して、師匠の法然が浄...
仏教
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論難に答える 第6回

輪廻今回は輪廻について話そうと思う。人は死んだあと、別の世界に生まれ変わる。生前に積んだ業によって、天に生まれたり、地獄に生まれたり、畜生や餓鬼になったり、再び人間になったりする。さて、こんなことが本当にあるのだろうか。正直に言って、分からない。なぜならば、私はまだ死んだことがないからである。死んだ...
仏教社会
仏教

論難に答える 第5回

仏教は思想か仏の教えの本質は次の偈に尽くされている。諸悪莫作 衆善奉行自浄其意 是諸仏教(悪いことをせず 善いことをして 心をきれいにしなさい これが諸仏の教えである)これを聞いて、当たり前のことではないか、と言う人がいる。仏の教えには中身がない、と。また、諸行無常という教えがある。すべてのものは移...
仏教宗教
仏教

論難に答える 第4回

哲学と因果律たとえば、因果律を定義することはできないとか、哲学的にそれを証明することはできない、という話がある。そうだとすれば、哲学には価値がないことになる。なぜならば、現実の出来事には全て原因があるのだから、それを説明することができない学問には何の価値もない。因果律の議論をする哲学者に対しては、次...
仏教記号論
仏教

論難に答える 第3回

認識論はいったん置いて、中論の話をしたいと思う。龍樹菩薩が著した『中論』第二章に、「去るものは去らず」という有名な議論がある。様々な先生がすでに解説をされているが、ここでは、アリストテレスの自然学と比較しながらこれを説明してみたい。なお、読者は中論の内容をある程度知っているものとして話を進める。中論...
仏教
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論難に答える 第2回

因果律そもそも因果律とは何か、と疑問に思う人がいるかもしれない。とくにヨーロッパでは因果律を否定する議論が人気を博しており、これについては詳しい説明が必要だと思う。仏の言葉によれば、因果律とは  これあればこれあり、これなければこれなし  これ生じればこれ生ず、これ滅すればこれ滅すである。Aという事...
仏教