書評改めて、ジョン・ロック『統治論』を読み解く ジョン・ロックの『統治論』は1689年に公刊された。本書は前後編に分かれており、『統治二論』と呼ばれることもある。前半部は王権神授説の批判に当てられ、後半で社会契約の理論が展開される。本稿では主に後篇を批判的に読解する。今回参照したのは伊藤宏之訳『改訂版 全訳統治論』(八朔社、2020)である。1我... 2023.12.19書評思想政治
大東亜戦争太平洋戦争の起源(ジョン・ロック『統治論』読解) 82年前の今日、日本軍は真珠湾基地を攻撃した。いい機会なので、太平洋戦争をその起源から振り返ってみたい。自然状態最近私はロックやルソーなど社会契約説の古典を読んでいる。彼らの思想に共通する特徴として、自然状態を仮定することが挙げられる。自然状態とは、人間が社会を形成する以前の段階である。ロックの場合... 2023.12.08大東亜戦争大東亜戦争思想歴史
書評ルソー『人間不平等起源論』を読み解く 今回は、ジャン=ジャック・ルソーの1755年の著作『人間不平等起源論』を読み解きます。本稿では、ルソーのもう一つの主著『社会契約論』にも言及します。『社会契約論』は1762年に発表された本で、人民主権をうたい、フランス革命に影響を与えました。参照したのは小林善彦、井上幸治訳『人間不平等起源論 社会契... 2023.11.22書評思想政治
書評マルティン・ハイデガー『存在と時間』を読み解く 今日は、1927年に発表されたマルティン・ハイデガーの『存在と時間』を読み解きます。先日取り上げたマルクス・ガブリエルさんの『なぜ世界は存在しないのか』と比べると、非常に読みにくく、奇抜な術語が多い本です。できるだけわかりやすく説明したいと思います。今回参照したのは原佑、渡辺二郎訳『世界の名著62ハ... 2023.11.16書評未分類仏教思想
書評マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』を読み解く 今日は、マルクス・ガブリエルさんの『なぜ世界は存在しないのか』を読み解きます。本書の続編『「私」は脳ではない』にも言及します。1本書は2013年にドイツで発表され、ポストモダンを越える新時代の思想潮流として、一躍話題になったものである。そのねらいは、科学的合理主義やポストモダン思想に抗って、ヨーロッ... 2023.10.23書評未分類思想
書評東浩紀『訂正可能性の哲学』を読み解く 先日、X(旧twitter)をはじめました。この記事は、Xでのつぶやきをまとめたものです。本稿は、表題の本を読み解き、リベラリズムを批判する内容になっています。今後しばらくは、気になる本の読解を行っていくつもりです。第一部本書は二部に分かれている。第一部ではリベラリズムについて、第二部では民主主義に... 2023.10.12書評思想政治
社会法治主義とジェンダー このまえテレビを見ていたら、トランスジェンダーを題材にしたドラマをやっていた。何となく見ていただけなので、ドラマのタイトルは覚えていない。私が見たシーンは次のようなもの。現在は男性として生きる元女性の新入社員が、会社のトイレを利用せず、コンビニのトイレを利用していた。会社の同僚はそれを見て不審に思う... 2023.03.27社会ジェンダー思想
社会主観的平等と客観的平等 京都に鳳凰堂で有名な平等院という寺院がある。ここでいう「平等」は平等心のことである。仏教では九品(くほん)といって、衆生を九つに分類することがある。仏の教えを信じない者が下品、仏の教えを信じる者が中品、仏の教えを信じて出家する者が上品である。この三つのそれぞれに上中下があり、合わせて九種類となる。こ... 2022.12.05社会ジェンダー思想
思想民主主義の欠陥 アメリカの場合先日開かれたCOP26にアメリカのバイデン大統領が出席した。前回のCOP25にトランプ大統領は出席せず、さらにパリ協定からの離脱も表明した。その後、共和党から民主党に政権が変わったことで、アメリカはCOPに戻ってきた。COPだけではなく、TPPのときもそうで、アメリカは一度結んだ約束を... 2021.12.14思想思想政治
政治重農主義宣言 資本主義によって人類は豊かになっただろうか。全体としては豊かになったが、同時に貧富の格差は拡大し続け、気候変動という災厄をも生み出してしまった。ゆえに、資本主義は誤った思想であり、共産主義こそが正しい。このように主張する知識人と、それを支持する人々がいる。彼らの間違いは、資本主義と共産主義という二項... 2021.12.11政治思想経済