コンドーム取締法への予想される反論

反論1

コンドームは性病予防の観点から必要なものである。すなわち、憲法第25条で保障される健康で文化的な生活を営むために必要とされる。ゆえに、コンドームを禁止する法律は憲法違反である。

回答

憲法第11条は基本的人権を保障している。その内容として、社会権、参政権などを挙げることができるが、これらの権利は国家の存在を前提とするものである。ゆえに、国家が存在しなくなれば、基本的人権を保障するという憲法の目的は達成できなくなる。したがって、明文の規定はないものの、国家の存続ということも憲法の要請であると考えなければならない。

国家共同体は第一に自然人によって構成される。自然人にはすべからく寿命があり、一定期間ののちに消滅する定めであるから、共同体を存続させるためには、間断なく新しい構成員を招き入れねばならない。これはふつう生殖という形で行われる。構成員による生殖活動が十分に行われなかった場合、その数は徐々に減少し、共同体の消滅とまではいかずとも、国家の運営に深刻な影響が出ることは十分に考えられることであり、現に国政における様々な分野ですでに顕著な問題が発生している。

したがって、国民の基本的人権を保障し、自由と幸福追求の権利を尊重するためには、国家共同体の維持を目的とする法律、すなわち出生率向上のための法律の制定が求められる。そのような法律の例として、女性の社会的地位の向上を促進するものや、男性の育児休暇取得を奨励するもの、保育所の整備を進めるものなどが制定されてきたが、すべて間接的な対策にとどまり、現下1.2を下回っている出生率を2.0以上にまで回復させることができるとは到底考えられない。この問題を解決するには直接的な対策が必要であり、現時点で考えらえれる最も現実的な方法は本法律の制定である。コンドームの禁止によって、少子化問題は抜本的に解決されるだろう。

もちろん、コンドームの禁止は公衆衛生上および健康上の様々な問題を引き起こすことが予想されるが、国家を存続させるという人権保障の前提となる重要な利益を実現するためには、一定程度の不利益は受容しなければならない。

そもそも、出生率が低くなりすぎて国家の存続が危ぶまれるという事態は、憲法制定者の想定しないところであって、こうした事態に対処するための規定が憲法に存在しないことは当然である。しかしながら、人権保障という憲法の理念に基づいて考えるならば、国家共同体の存続は憲法の明文の規定と同等の重要性を持つといえるから、そのための立法も許容されるべきである。

反論2

コンドームの取締りは個人の幸福追求の権利を侵害するものであるから、認められない。

回答

憲法第13条によれば、個人の幸福追求の権利は公共の福祉に反しない範囲で尊重されねばならない。しかしながら、公共の福祉の前提としての公共の存在は、次世代の国民の出生によって支えられるものであるから、出生率向上のための法律の制定は、個人の幸福追求を犠牲にしてもなお実現すべきものだといえる。

そもそも、次世代の国民の出生のためには善良な風俗、すなわち健全な男女関係が必要であり、本法律はこうした風俗を確立するためにも必要とされる。コンドームの濫用は不特定多数との刹那的・享楽的な性交渉を助長するものであり、かえって幸福な夫婦関係を遠ざけるものである。共同体の維持と公共の福祉と個人の幸福追求の一致点を探そうとするならば、男女関係のあり方について何らかの模範を示さなければならないだろう。この点で、現行の法体系は不十分だといわざるをえない。

本法律は個人に何らの義務を課すものでもなく、積極的に個人の利益を侵害するものでもない。ただ、コンドームの製造等の産業に従事する国民に不利益を及ぼすだけである。公共の福祉と比較して、経済活動の自由がどの程度まで尊重されるべきか、利益の比較衡量は必要かもしれない。しかし、生殖に関する技術に国家が介入するのは避けられないことであり、ある程度の不利益は忍受してもらうしかない。

反論3

憲法第24条第2項は、家族に関する法律は、男女の本質的平等に立脚して制定されなければならないとしている。本法律は、性交渉における女性の妊娠の可能性を著しく高めるものであるから、男女の本質的平等を損うものであり、違憲である。

回答

妊娠に関して両性の平等を追求するならば、女性の妊娠可能性を否定せざるをえず、その結果として出生率が低下し、国家共同体の衰亡を招くことは論をまたない。ゆえに、妊娠・出産に関する不平等は、男女の本質的平等には含まれないと考えるべきである。

したがって、本法律は男女の本来的な不平等を表面化するにすぎず、法律自体に違法性があるとはいえない。

反論4

「国家共同体を存続させるために健全な男女関係が必要だ」というあなたの主張は、性的マイノリティへの配慮に欠け、時代錯誤である。

回答

ゲイもレズビアンも、男女がセックスした結果として生まれたものである。したがって、男女関係がどうあるべきかということは、誰しもが無関係ではありえない社会の根幹に関わる問題であり、性的マイノリティにも等しくこの問いに答える義務があるといえる。マイノリティだから特別扱いするというのは白眼視するのと同様に無責任であり、彼らにも社会の一員としての責任を期待するのは不合理とはいえないだろう。

反論5

コンドーム取締法によって本当に少子化が解決するのか。

回答

自明である。

コンドームが存在しない状況では、性交渉は高い確率で妊娠の可能性を伴うものとなるから、軽々しく性交渉を持つことはできない。理想的には、婚姻後に性交渉を持つべきである。

これを制度化するため、刑法に「婚前交渉罪」を追加するべきである。婚姻関係にない男女が性交渉を持った場合、男性側が罪を負うことになる。望まぬ妊娠を回避し、また、女性のみが妊娠可能性を負うという不平等を是正して両性の実質的平等を実現するための法律である。男性同士、女性同士の場合には適用されないが、その場合は不同意性交等罪がカバーしている。

かりに婚前交渉罪を作ったとしても、個人の自由や性的マイノリティの権利が侵害されることはない。たとえば、子供を産まない自由は保障されるが、その自由を追求するものは一生セックスができない。これも理の当然であろう。

コンドームは性交と生殖を切り離してしまった。いくら食べてもうんこが出ない食事のようなものである。それが深刻な副作用を伴うことは容易に想像できる。したがって、コンドームを禁止することで少子化の元を断つことができるのである。

近況報告

先日、司法書士試験を受けて、いまは行政書士試験に向けて勉強をしている。憲法の勉強をしていると、最高裁判所の判例を読む機会が増え、判決文のような文章が書きたくなった。作文は好きなので司法試験にも挑戦したいのだが、いまはお金に余裕がない。余裕ができたら挑戦しようと思う。

良くも悪くもこの社会は法律によって作られているから、社会的な地位を向上させようと思ったら、法律の勉強をするのが近道である。若いころの自分に教えてやりたい、といまさらながらに思う。

つぎは、世界政府の憲法草案などを考えてみてもいいかもしれない。もう少し勉強が進んだら、何か思いつきそうな気がする。

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