世界政府の税制

世界政府の税制は租庸調を基本とする。租は穀物であり、庸は労役、調は特産品である。

我々は世界各地に食料倉庫を作り、食料税をそこへ納めさせる。そのうち一部は政府が運用する。他はそのまま倉庫に残し、飢餓などが起きたときに放出する。そのように、世界政府の税制は、それ自体が住民のセーフティネットとして機能する。

また、食料を税として徴収するようになれば、自然と住民の側でも農業に対する意識が強くなる。というのも、税は毎年払わねばならないので、毎年安定して作物を生産できるように、住民も工夫せざるをえないからである。税を払えずに困るのは自分たちなので、自発的に農業技術の向上に努めるようになるだろう。

そのように、世界中で農業基盤が発達してゆけば、食料問題を解決することができるはずである。もちろん農業に向かない土地もあるので、その場合は別の方法を考えねばならない。しかし、人類社会にとって穀物の重要性は大きく、その生産を奨励することは必要である。

穀物は炭水化物を多く含むので、エネルギー源となり、人間に活力を与える。これは人間社会を成り立たせるための不可欠の条件である。また穀物は保存がきくので、非常のときにも役に立つ。味は落ちるが、一年前の米も十分食える。ゆえに、これを税として徴収することは理にかなっている。

食料を税の基本とするのは、その重要性を人々に認識させるためであり、また、その生産を促すためである。貨幣によって税を納めるよりも非効率な制度になるだろうが、当面の間、つまり食料問題が一段落するまでは、これを続ける必要があると思う。貨幣中心の経済から、食料中心の経済へと移行させることが、この制度の目的である。

土壌の搾取は、貨幣中心の経済によって引き起こされている。作物そのものに価値を見出すのではなく、それを貨幣に換算したときの値を競うことで、作物の本質が見失われている。安定的に農業を続ける方策を見つけるためにも、経済の変化は必要である。

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