IV. 日本の平和

徳は教えられうるか

プラトンは、対話篇『メノン』において、徳は教えられうるか、という問題を提起している。そこでは明確な回答が与えられているわけではなく、また、哲学者がこの問いに答えられたためしはない。 しかし、その問題はすでに仏陀によって解かれている。徳を教えることはできる。それは物乞いによってである。 徳とは憐みの心...
仏教思想
IV. 日本の平和

プラグマティズムとは何か

パースは、プラグマティズムの創始者と目されている。だが、彼自身は自分の立場をプラグマティシズムと呼び、ジェームズらの哲学運動から区別していた。 現在では、プラグマティズムは価値の相対化や真理の相対化を目指す立場だと考えられている。それぞれの言葉には実用的な価値しかなく、哲学的な用語の実在性を信じるべ...
記号論
IV. 日本の平和

人間は記号である

1 人間は記号である、とパースは言った。 記号と物を区別する考えが西洋にはある。しかしパースによれば、物は記号の一種でしかない。なぜかといえば、物が存在する、という考えがそもそも誤りだからである。 あるものの存在を知るとき、我々は、それを何らかの感覚器官を通して知ることになる。最も分かりやすいのは目...
科学記号論
IV. 日本の平和

社会の構造

1 ひきこもりの問題が示しているのは、この社会の構造である。 現代社会の構造を支えているのは、ただ一つ家庭だけである。人間はどこまで行っても家族から自由になることはできず、家族関係の中にとらわれ続けるしかない。戦前であれば、軍隊生活というものが、ある程度は社会の構造を支えていた。多くの人間が軍隊での...
社会
IV. 日本の平和

歴史と文学

1 物語は面白くなければならない。どれほど人に伝えたいことがあっても、話がつまらなければ聞いてもらえない。聞いてもらえなければ、話す価値もない。だから、人に伝える価値がある物語ほど、面白くなければならない。 ゆえに、歴史は最も面白い物語でなければならない。歴史ほど、人に伝える価値のあるものはないから...
歴史
IV. 日本の平和

森友学園問題

1 二〇一八年三月、森友学園の国有地払い下げ問題に関連して、財務省で公文書の改ざんが行われていたことが発覚した。 一部報道によれば、事件の真相は、安倍首相夫人と交友があった同学園の籠池理事長のために、首相本人が口利きをした事実を隠蔽するためのものだったという。もちろん、報道の通りに隠蔽が実行されたの...
政治
IV. 日本の平和

表現の自由

1 表現の自由とは、正しいことを言う自由である。間違ったことを言う自由は存在しない。この点に混乱があると思う。 仏教では、身・口・意の三業に気をつけろと言う。このうち身と意、つまり身体と心の行いに気をつけろ、というのは現代の人にもよく分かると思う。しかし、口の行いに気をつけろ、というのは理解しにくい...
社会
IV. 日本の平和

責任

責任をとるとはどういうことだろうか。ある人が言うには、人間には、責任をとることなどできない。だから、できることを精いっぱいやればいい、のだそうだ。 そういう人の話をよく聞いてみると、「責任がある」という文を、「責任」という名詞と「ある」という動詞に分解して考えていることが分かる。次に彼は、この文は「...
社会
IV. 日本の平和

学者

ある種の学者たちは、西洋の学問にどれほど価値があるか、ということを盛んに説いている。そういう人々は、ヨーロッパの学問だけが真実であって、それ以外はまやかしである、という印象を人に植え付けようとしている。いまだにこういう人たちがいるのは不思議ではあるが、かといって、彼らの活動を非難すべき理由もない。 ...
社会
IV. 日本の平和

日本の平和

1 現在の日本が平和なのは、東南アジアが独立しているからである。昔は、東南アジアはヨーロッパ諸国の植民地だった。そのため、宗主国の意思によって、そこで産出される資源の使い方が決定された。宗主国が日本に敵意を持つならば、日本への資源の輸出を差し止めることもできた。それが戦争のきっかけになりえたのである...
歴史