情報の非対称性がもたらす歴史認識の歪み

太平洋戦争について考えるとき、我々は情報の非対称性に注意しなければならない。東京裁判等の一連の究明活動によって、あの戦争をめぐる日本政府の意図や判断は、十分に明らかにされたと言ってよい。もちろん焼却された文書も数多く存在するが、我々が知りうる事柄については、すでに究明され尽くしていると言える。

一方で、アメリカ政府の意思決定の過程については、何一つ明らかにされていない。たとえば原爆の投下に際して、どうして広島と長崎の二都市が選ばれたのか、どうして他の都市は標的とされなかったのか、その理由を我々は知らない。

しかしこのような重大な決定が、大統領の独断によってなされたとは考え難く、アメリカ政府の内部で幾度も議論が行われたはずである。そして、アメリカ政府がその議事録を保存していないとは考えられない。だが我々の誰一人として、そのような記録を見た者はいない。我々の誰も、どのような経緯で原爆の投下先が決定されたのか、その具体的なプロセスを知らないのである。つまり、彼らは資料を隠匿している。

この例に限らず、あの戦争に際してアメリカ政府がどのように意思決定を行ったかということは、すべて謎のままである。ここには著しい情報の非対称性が存在する。日本側の事情についてはすべてが詳らかにされているが、アメリカ側の事情は闇の中である。この問題を意識せずに太平洋戦争について語ることは、さらなる混乱を招くだけだ。

正しい認識を得るためには、正しい情報を手に入れる必要がある。太平洋戦争にまつわる歴史認識の問題を解決するためには、アメリカ政府が隠匿しているすべての資料を公開させねばならない。さもなければ、本当の歴史を知ることはできないだろう。

ここで、アメリカには情報公開法があるのだから、過去の資料はすべて公開されているはずではないか、と思う人がいるかもしれない。しかしアメリカの情報公開には例外があって、国家安全保障にかかわる情報は開示しなくてもよいことになっている。自分で確かめたわけではないが、原爆投下に関連する資料の開示を要求しても、アメリカ政府は応じないのだという。


では、どうしてアメリカ政府は、それらの資料を公開しようとしないのだろうか。

これに関しては、私はすでに答えを出している。なぜならば、それをしてしまうと、アメリカが日本に敗北したことが明らかになってしまうからである。この問題についてはHP内で何度か議論しているので、探してみてほしい。

また、私はトランプ支持者ではないが、太平洋戦争が戦われたのは民主党政権下だった、ということは指摘しておかねばならない。民主党はそのときも嘘をつき、それによってアメリカ国民に巨大な負債を残すことになった。その嘘を暴く勇気がトランプ信者にあるかどうか。

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