技術の風土

先日テレビで見たのだが、福島第一原発はゼネラル・エレクトリック社が開発したものらしい。それを知って腑に落ちたことがある。

技術には地域差があって、たとえば建築でいうと、ヨーロッパはレンガ造りで密閉性の高い建物が多く、日本は木造で開放的な作りのものが多い。そういうふうに、技術にも文化があるので、その土地の技術で作られたもののほうが、土地の人にはなじみやすい。

原発について考えるときにも、それがアメリカの技術の直輸入だった、という点に注意するべきではないだろうか。私が原発事故の話を聞いて、いやだなと思うのは、事故が起きている炉心の様子が、外からは全く分からないことである。炉心の周りには何重にも壁が巡らされていて、中の様子が伺い知れなくなっている。そうすると事故が起きたときに、適切な対処がとれなくなる。

我々が怠ったのは、外国で開発された技術を、我々自身に合うように作り直す作業だったのではないか。日本人には密閉性の高い技術よりも、開放的な技術のほうが向いている。中の様子が見える作りのほうが、我々にとっては対処がしやすい。そういうふうに、原子力技術をアレンジすることで、より安全に運用することができるはずである。

私はいわば開放型の原子炉を提案しているが、それは安全性を考慮してのことである。事故が起きる前提で原発を設計するならば、炉心の状態を簡単に確認できることが望ましい。核燃料を隠すのではなく、それをむき出しにしたほうが、制御がしやすくなると思われる。

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