かつてイギリスは中国にアヘンを輸出し、おびただしい数の中毒患者を作り出した。アヘン戦争は、それが人種差別に基づいた国家的犯罪行為だという点で、ホロコーストに匹敵する悪事である。欧米人がホロコーストを非難するのは、それによって自らの過ちを隠すためにすぎない。
北米入植者によるインディアンへの迫害も人種差別を原因としており、このような犯罪行為は欧米の歴史の随所に見られる。人種差別はヨーロッパの風土病である。何もヒトラーだけが特別だったわけではない。
そして、人種差別の起源もおそらくユダヤ教にある。ユダヤの選民思想は、彼らが神から選ばれた特別な民族だと主張する。これは同時に、民族の区別は神が創ったものだ、ということを意味する。人種の区別は神が定めたものであり、人間の理性によって把握できるものではない。選民思想は、人種という一個の超越的観念を生み出したのである。
このように、人種が経験を越えた概念であるということが、人種差別の根絶を難しくしている。なぜならば、人種差別を行う人間を経験によって説得することができないからである。ある種の人々は、人種の存在を固く信じている。そして、人種というものが事実存在するならば、それに基づいて人間を区別することは自然である。彼にはそもそも、人種差別の何が悪いのかが理解できない。氷と水が異なる性質を持っているように、ユダヤ人とゲルマン人も全く違う性質を持っている。それらを区別することは、理性的な人間としては至極当たり前のことである。
人種の存在を頭から信じ込んでいる人に対して、それが虚妄にすぎないことを説明するのは容易ではない。それは、神を信じている人に、神が存在しないことを説明するのと同様である。神は姿が見えないことが前提となっている。そのため、この世界のどこにも神が存在しないことを証明しても、相手を説得することはできない。存在しないけど存在する、あるいは、この世界の中に存在しなくても、この世界の外に存在する、という話になっている以上、神が存在しないことは、神が存在しないことの証明にはならない。つまり、端的に説得不可能なのである。
人種という観念も経験を超越するものである以上、それを信じている人に対して、それが存在しないことを説明することはできない。そして、人種が存在する限り、人種差別も肯定されてしまう。
厳しいことを言うようだが、ホロコーストは自業自得である。ユダヤ人は、自分たちが作り出した人種という観念に足をすくわれてしまったのである。
ユダヤ人は事実、諸悪の根源といってよい人々であり、彼らに問題があることを指摘したヒトラーの行いには一定の評価が必要だと思う。もちろん、ホロコーストというやり方は間違いだったが、動機の一部には真実もある。
ヒトラーが本当にすべきだった仕事は、ユダヤ人を殺すのではなく、自分たちは間違っていた、という言葉をユダヤ人から引き出すことである。彼は正しいことをしようとして、途中で間違えてしまった。恐ろしいことである。