ウイルスが強毒化する理由

新型ウイルスについてはこのサイトでも何度か取り上げているが、改めて書く。

まず、現在の我々の対策は間違っている。いまは感染の第五波が来ており、中心となっているのはデルタ株だという。デルタ株は感染力・毒性ともに武漢型を上回るとされる。そして、今後デルタ株よりも強力な変異株が現れないという保証はない。

変異株はイギリス株以来、次々と確認され、変異を起こすごとにウイルスの毒性は強くなっている。なぜか。ふつうウイルスは時間が経つほど毒性が弱まるとされている。しかし新型コロナに関しては、毒性はだんだん強まっている。

ウイルスの弱毒化がどのように起きるかというと、そもそも、ウイルスには様々な変異が起きる。その中には毒性が弱いものもあれば、強いものもある。他よりも少しだけ毒性が強いウイルスは、宿主を死に追いやる可能性が高まる。宿主が死ねば、体内のウイルスも同時に死ぬので、そのウイルスは淘汰されてしまう。そのように、毒性の強いウイルスは宿主を殺すことで自滅し、淘汰されてしまう。すると毒性の弱い株だけが生き残るので、ウイルスは全体として弱毒化に向かう。

一方、新型コロナの場合、重症の患者も医者の努力によって助けられてしまう。ここで、重症の患者の体内にいるウイルスは毒性の強い株である可能性が高いので、毒性の強い株が淘汰されずに生き残ることになる。結果、ウイルスは強毒化に向かう。つまり、医者が患者を救うことで、患者の体内にいる毒性の強い株が生き残る。それによってウイルスが強毒化し、さらに患者が増える、という悪循環が起きていると考えられる。我々は人為的に毒性の強い株を作り出しているのである。

いま我々は、毒性の強い変異株が無条件で有利になるような状況を作り出している。というのも、ウイルスは感染力が強いほど毒性が強くなる。これは、ウイルスの増殖によって宿主の器官が圧迫され、それによって病気の症状が出ることを考えれば理解できる。

増殖のスピードが速いほど感染力が強く、毒性も強い。それはより多くの人間に感染し、自らのコピーを増やし、多くの重症患者を作り出す。だが、医者の努力によって患者は治癒してしまう。それならば、より毒性を強くし、より繁殖力を強くした方が、子孫を増やす上で有利となる。患者が死なないのであれば、毒性を弱くする必要はない。現状では、感染力を強める変異に対して、全く淘汰圧が働いていないのである。

ゆえに、我々は我々の社会の中に、毒性の強い変異株に淘汰圧が働くような仕組みを作らねばならない。それは単純に考えるならば、重症の患者を見殺しにすることである。もちろん、もっと抵抗の少ないやり方を考えてもいい。いずれにせよ、いまのやり方では医療が崩壊するまでウイルスの強毒化は止まらないだろう。根本的な戦略の見直しが必要である。

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