書評

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改めて、ジョン・ロック『統治論』を読み解く

ジョン・ロックの『統治論』は1689年に公刊された。本書は前後編に分かれており、『統治二論』と呼ばれることもある。前半部は王権神授説の批判に当てられ、後半で社会契約の理論が展開される。本稿では主に後篇を批判的に読解する。 今回参照したのは伊藤宏之訳『改訂版 全訳統治論』(八朔社、2020)である。 ...
思想政治
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ルソー『人間不平等起源論』を読み解く

今回は、ジャン=ジャック・ルソーの1755年の著作『人間不平等起源論』を読み解きます。 本稿では、ルソーのもう一つの主著『社会契約論』にも言及します。『社会契約論』は1762年に発表された本で、人民主権をうたい、フランス革命に影響を与えました。 参照したのは小林善彦、井上幸治訳『人間不平等起源論 社...
思想政治
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マルティン・ハイデガー『存在と時間』を読み解く

今日は、1927年に発表されたマルティン・ハイデガーの『存在と時間』を読み解きます。先日取り上げたマルクス・ガブリエルさんの『なぜ世界は存在しないのか』と比べると、非常に読みにくく、奇抜な術語が多い本です。できるだけわかりやすく説明したいと思います。 今回参照したのは原佑、渡辺二郎訳『世界の名著62...
仏教思想
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トマ・ピケティ『21世紀の資本』を読み解く

トマ・ピケティさんの『21世紀の資本』を読んだ。 2014年に出版された本書は邦訳600ページに及ぶ大著だが、読み始めると意外と面白く、一気に読み通してしまった。ひとつひとつの概念を丁寧に説明して議論を組み立ててゆくので、何も知らない状態から読み始めても、すんなり読めるように工夫してある。良い本であ...
経済
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マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』を読み解く

今日は、マルクス・ガブリエルさんの『なぜ世界は存在しないのか』を読み解きます。本書の続編『「私」は脳ではない』にも言及します。 1 本書は2013年にドイツで発表され、ポストモダンを越える新時代の思想潮流として、一躍話題になったものである。そのねらいは、科学的合理主義やポストモダン思想に抗って、ヨー...
思想
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斎藤幸平『人新世の「資本論」』を読み解く

斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』を読み解きます。 1 本書の主題は、気候変動への対策を議論することである。国連のSDGsによって示されたように、気候変動は人類社会にとって大きな問題になっている。その問題の大きさを読者に再認識させ、かつ、既存の対策の不十分さを示すことが、第1章から第3章までの内容...
世界政府政治経済
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東浩紀『訂正可能性の哲学』を読み解く

先日、X(旧twitter)をはじめました。この記事は、Xでのつぶやきをまとめたものです。 本稿は、表題の本を読み解き、リベラリズムを批判する内容になっています。今後しばらくは、気になる本の読解を行っていくつもりです。 第一部 本書は二部に分かれている。第一部ではリベラリズムについて、第二部では民主...
思想政治